シナリオは、映画の青写真

企画・脚本クラス 後期Ⅰ部 第1回
講師:中島貞夫監督

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企画・脚本クラス[後期・Ⅰ部]が始まりました。
今回共に切磋琢磨することになったクラスメイトは、下は20代から上は60代まで、幅広い年齢層の男性メンバー7人。少数精鋭で頑張るぞ!


記念すべき1回目の授業は、映画監督であり脚本家でもある中島貞夫先生による特別授業でした。お題はズバリ「シナリオとは?」。前半では、まずシナリオを学ぶ上で、この“シナリオ”という物がいかにして誕生したのかという歴史的な背景を、“日本映画の父” 牧野省三のエピソードを交えながら伺いました。「1スジ、2ヌケ、3ドウサ」「良いシナリオから悪い映画は生まれても、悪いシナリオから良い映画は生まれない」といった映画創成期に考えられたセオリーが、現在でも映画の鉄則となっているとは驚きです。


後半は、シナリオが果たす役割を、「桃太郎」「赤い花」などの具体的な事例を引き合いに出しながら分かりやすく説明していただきました。感覚的で具体性を持つ“映像”を表現するのに、まずは論理的で抽象性のある“文字”という正反対の手段を用いる必要があることを強調され、シナリオ執筆の難しさと面白さを痛感しました。


残りの時間は質疑応答の時間となり、各々の質問に中島先生が答えてくださいました。「いま真の“俳優・女優”と呼べる人がいなくなったのは“役者の神秘性”が失われたから」、「シナリオを書く上で資料集めや取材は欠かせない」など、長年映画の世界で仕事をされてきた中島先生だからこそ言える経験談は、映画ファンである私にはたまらない話ばかりで、ついつい聞くことに夢中になり、メモを取る手も止まりがち…(いかん、授業だった!)


ちなみに私の「特出している脚本家は?」の問いには、“他者のシナリオはあまり読まないが”と前置きされた上で「骨太な笠原和夫」と「繊細な野上龍雄」の2名を挙げていただきました。特に“笠原和夫氏”は、偶然にも先日の井筒和幸監督の特別講義でも名前が挙がっただけに、映画のプロが認めるプロの脚本家として、改めて勉強したいと思いました。


授業終わりにはクラスメイトと連れ立って親睦会へ。それぞれ自己紹介やシナリオ・映画への思いなどを楽しく語り合いました。これからの全8回宜しくお願いしますね。


企画・脚本クラス 受講生 奥西悠吾