『さよならも出来ない』TAMA NEW WAVE 感想コメント

*こちらは非公表のテキストです。関係者のみの閲覧でお願い致します。

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TAMA NEW WAVE 審査時の実行委員コメントと上映時観客の皆様に頂いたアンケートコメント

第17回 TAMA NEW WAVEコンペティション
日時:2016年11月26日(土)
会場:東京都多摩市聖蹟桜ヶ丘 ヴィータホール

作品名『さよならも出来ない』 松野泉監督作品

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登場人物たちのやりとりや香里と環の暮らす部屋の独特な世界につい目を凝らしてしまった。出演者それぞれに愛嬌や、どこか天然っぽいところ、癖のある話し方といった愛すべきキャラクターがあり印象深く記憶に残る。また、そのことによって作品自体への愛着も湧いてくる。そして、映画では描かれない主人公らの過去について思いを馳せ、映画で描かれるより多くのことを考えてしまう。人と人が対峙する難しさや複雑さ、その緊張感の機微を捉え描き出しているところが素晴らしく松野監督の描く人間関係をもっと観てみたい、と期待するばかりだ。

男女の愛には様々な形があると感じます。社会ではとくに元カレの恋人を自分の所有物と勘違いしたストーカー殺人が多発するなかで、この映画のように他人を相互に思いやり、会話も「ですます調」で丁寧で、テンポも緩やかな作品を見ると安心します。

人間関係の描き方が独特で惹きつけられた。

人物の丁寧な描写が魅力的。好きです。

文学的な手触りがした。

個人的には興味が持てず、感動もしなかった。音楽はとても良かった。

最初はどのように観ていけばよいのかわからなかったが、次第に独特の雰囲気になれていけた。ただ、妙な喜劇としては観られたが、恋愛劇としては感動しなかった。撮影などには好感が持てた。

様々な思いや感情が交錯する中、激昂したりする事もなく、ゆったりとした時間に重ねているのがいいですね。オジサンとオバサンがとてもよかったです。

いちばんよくまとまった良き作品でした。

ていねいな脚本でしっかり作られていた。別れても同居というシチュエーションが新鮮であった。結末が予想できたのはもっと異なると良かった。

主演2人の微妙な関係と距離が興味を持って見られました。

面白かった。出演者全員の芝居がよかった。音響の環境音の付け方がちょっと気になった。劇場でもう一度観たい作品。

ゆったりとした展開に心温まる。少し不思議な関係を微妙な演技、みずみずしい映像でした。

独特の世界観というよりも世界観を役者がつかめてなくて戸惑っていて息苦しくなっているんだと思います。

静かなとても良い作品だと思いました。

ゆっくりとした流れでたんたんと流れていく作品。松野監督はこういう作品が多いのだろうか、他も観てみたい。

全体的にストーリーがちゃんとしていました。

日本語を伝える。伝える気持ち。伝える情趣の大事さを強く感じた。

設定がおもしろい。

言葉も出ない。ダントツでした。松野監督は変態だ。

普通に楽しめました。ただ、もし中編ぐらいの長さだったら、また違う印象になったと思います。

もう少しメリハリが欲しい。ロケーションが良かった。音の使い方も面白かった。

奇妙な恋愛模様を繊細に描いていた。

こういう同棲の仕方もあるのだと感じた作品。割と新タイプの作品かもしれない。

会話の丁寧語に感じられる緊張感となんとなくゆったりとした雰囲気であるのに対して、音響が不安を感じさせるようなものになっていて、うまく融合して全体の雰囲気ができていると思った。不思議な世界観からつむぎ出されたストーリー性も秀逸。

別れたくても別れられない二人の様子が部屋の中の境界線として表現されていて、分かりやすかったです。

ああいう関係も悪くない

2人の心情が何故か理解できた。「今」らしい作品。でも職場の彼としなくても良かったと思うが・・・・まわりの人々、姉や叔母の優しいまなざしが心地よかった。

勝手に感情移入してしまいました。ハッピーエンドでよかったです。カオル君のぶっきらぼうさが周りの身内によって引立っていました。

完成度高いし、色々なカットがあってよかった。

静かに丁寧に、奇妙な関係性を笑うことなくしっかり捉えた素晴らしい作品でした。テンポがやや単調になりがちでしたがそれでも楽しんで観られました。

環さんのおばかさがよいエッセンスになっていました。

発想がユニークでドラマも面白いが、映画としての表現の点では物足りない。ラストも無理に説明しようとして、セリフに頼ってしまい映像表現に乏しくなってしまった。

ちょっと変わった恋愛映画。最初はテンポも遅いし、暗いし、何とも面白みのない作品だと思ったが、いろいろな人たちが登場するようになると徐々に面白くなってきたから不思議な作品。『ハッピーアワー』のようなにおいのする作品なので、ちょっと面白いかも。

セッティングがユニークで、女性の親に言われて同棲生活の偵察にくる女性の叔母など登場人物のキャラクタも面白いが、惹きつけられるセリフがあまりないのでドラマが弾まなく感じられるのが残念。それでも独創的な人間模様を描いていて、今後を期待してしまう。

冒頭のシーンでは、変わった生活を送る2人の世界から出て行かない話を想像したが、2人の生活に周囲の人々が関わってきて、現実の世間との関係が描かれていくのがおもしろかった。最後に変化が訪れることに対して、心情の変化の過程がつかみきれなかった。役者の演技の調子が一定でないが、不思議と違和感はなく、独特な空気に惹き付けられるものがある。

なんだか色々考えさせられた作品だった。主人公の女性と叔母の間には過去に何かあったのかと思わせられたが、結局良く分からなかった。

別れて3年も同棲しているカップルの話。話にはよく聞きますが、映画の題材としては初めて観ました。また、初めて画でこのような状況を見て「なるほどー」と思いました。また、オーディションをしたわけでもない、俳優コースに集まったキャストでよくこの脚本を書いたなと思いました。どの役もどはまり!この状況やいろいろなことが重なった時のことと、この行方について見てうーんと考え、とても印象にのこりました。

情景の描写にBGMをよく使っていると思う。主人公の心情がよくわからないので話の筋が理解しにくい。恋愛ものとしても変な話の作りだと思う。

自分の気持ちをうまく表現できないまま同棲を続けるふたり。積極的な周囲の人々が全員集合して、初めて一歩を踏み出す。まったりした雰囲気系だが脇役を含めて配役が良く、楽しめた。

どこか箱入り息子と箱入り娘のような、本好きな人と言うか文学好きな人たちの穏やかな、ガツガツしてない恋愛話。なんとなく過ごしているけど、ルールは決めていて、もどかしくもせつない二人(と回り)。良かった(T . T)

ちょっと単調で、主人公2人の変化は結局おばさんの存在がキッカケだからあまり面白味を感じなかった。木陰や書店の画がきれい。

ヒロインの表情はよい。『ハッピーアワー』との共通点があり、境界を設けながらもさよならできない2人のどうにもできない味わいがあったが、なだらかな印象がぬぐえず。川村りらさんがエンドクレジットにあったが、どこに出ていたか気になった。

不安定なことが起こりまた確かな思いへと繋がっていく過程が、家族が加わることでも描かれている。

雰囲気が良かった。別れてから3年同居、境界線、敬語でのセリフの言い回しなどの「違和感」が独特の雰囲気を作っている。今まで見たことのない設定で面白い。主役の二人があまり感情的にならないのも雰囲気に合っているが、男性の方は特にセリフの内容から感情を読み取るしかないという印象だった。

何も起きていない2人の暮らしている部屋が絵になっていて、ひきつける。

予想通りの結末ではあったが、雰囲気はとても良い作品。

カオリとタマキの関係の複雑さ、言葉での説明のつかなさが興味深かった。ただ、感情移入はしづらい作品ではあるのかもしれない。終わり方がよく分からなかったが、またみてみたいと思った。木管の音楽が好きだった。

登場人物同士がお互いに向き合うさまを見つめるカメラの眼差しについては、『ハッピーアワー』後の今、改めて驚くまでには至らなかったものの、そこにある息遣いのなかに何かしらを捉えようとする態度については断固支持したいし、また本作はその方法によって、今わたしたちが生きる世界と、そこにあるコミュニケーションの問題を新たな視点から捉えることに成功したとても優れた現代劇になっていたと思う。ここで描かれた他者への欲望のありかたについては、今まで無意識に感じることがありながら頭で認識していなかったものが、目の前に形としてあらわれたようで、とてもリアルなものを感じた。また、真正面から描くだけでは地味になってしまうような題材を巧みにみせるアイデアが豊富で総合的に魅力のある作品に仕上がっている。批評性と娯楽性を兼ね備えた作品を手がけることが出来る監督だとおもうので、今後の作品も注目したい。

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