俳優コース|脚本分析クラス14-1|受講生おぼえがき
体験したことを書き残すことでも身につくことがあります。
講師・金世一さんの指導で、毎回の講座で感じたこと、やったことを文字で反芻することなどを、受講生が書き留めていきます。
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第5回 8月30日(土)
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観客は役者の発する台詞を聞いて、
形式的な情報を読み取っているのではなく、
その台詞の裏にある気持ちを読み取っている。
そして、登場人物の関係性についても
台詞の裏にある気持ちによって決まってくる。
台詞の裏にある気持ちを聞かせるには、
一つ一つの台詞を詳細に分析していく必要がある(2次分析)。
分析した結果は、わかりやすい言葉で端的に表した心理状況(感情)と
その心理状況の根拠を明確にする。
というのは、実際に演ずる上での目標にするためである
(複雑に過ぎると自分がその通りできているかの指標としづらい)。
常に意識しないといけないのは、森を見ることである。
場面で区切って、分析していくことで、
自分の場合は全体を忘れていまいがちですが、
そうしてしまうと、最終的に一体その登場人物が
どういう人間だったのかということがわからなくなってしまうので、
その場面だけ取ってみれば正解に思えるような解釈も
今一度全体を見渡して、果たして一貫性があるのか、
というところを注意して読むようにしていきたいです。
野里佳忍
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第4回 8月23日(土)
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<感想・覚書き>
まず、脚本に書かれているテーマやキャラクターなど
「森」をつかむこと必要がある。
そのために、2、3回ざっと読み、
印象に残ったところに印をつける。
そして、なぜその部分が印象に残ったのかということも考える。
一通り読んで、自分なりにテーマをまとめてみる。
そのあと、内容によって場面ごとに区切っていき、
そのシーンでは何を演じるべきか、
そのシーンの目標は何かということを考え、登場人物の心境をつかむ。
脚本を読んでいく際には、
実際に声に出し、・・・の部分も流さずに
しっかりと間を取って読むことで、見えてくるものがある。
脚本をより理解するためには、
その作品が書かれた当時の時代背景や
その時代の社会通念などを調べたり、
作者の略歴や問題意識などについて調べることも重要である。
(一方で良い作品というのは普遍性があるものである)
自分の観点から作品を読み解いていくことも
大切であるが、その自分の観点を広げるためにも
客観的な知識を深めていくことも大切である。
今回新たに取り上げた作品を
はじめ自分で読んでいたときには気付かなかったこと
(冒頭のやりとりが最後に改めて繰り返される)に、
授業を受け、皆さんの話を聞く中で気付くことができ、
一つの脚本をみんなで読み解いていく
この脚本分析の講座の醍醐味を感じました。
野里佳忍
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その作品の書かれた時代背景、生活環境、作者の経歴なども調べる。
森をつかむ。
段落分けをして1次分析。紙上に書かれていることをおさえる。
同じテキストでも、受講生の段落分け、解釈の仕方、受け取り方が少しずつ違って、それらを丁寧に検証することも面白い。
市川愛里
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第3回 8月2日(土)
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演技の目標は、脚本に表面的に記載されている1次的な意味から2次的な意味を読み取り、それを1次的な意味(脚本に記載されている具体的な動作)として表していくことである。
そのため、読み解いた2次的意味を説明する際にはより具体的な表現で言葉にして説明できる方が良い。
というのも、抽象的に過ぎると、実際に身体で演技する際にそれが自分の読み解いた内容と合致しているのかどうかの判断がしがたくなるからである。
また、この2次的な意味を読み解くにあたり、脚本の全体を見てそれぞれのキャラクターを理解していないと(個々のシーンに記載されている部分部分だけの記述を分析するだけでは)一貫性のないキャラクターになってしまう。
演技の根本は、刺激(アクション)と反応(リアクション)の繰り返しである。
心(受容体)を閉じていては相手に刺激を与えることも反応することもできない。
realな演技とは身体と心が一致していて、そのリズムが観ている人にも伝えることである。これがズレていると観ている側はオーバーな印象を持つことになる。
従って、単純に気楽な振る舞いをすることがrealな演技であるとは言えない。
授業を終えた後に改めてあらすじを書くと授業開始前に書いていたときとでは、登場人物の捉え方や物語の解釈に変化が出ていました。当初は、幸せや愛情に重きを置いて解釈をしていましたが、後になるとむしろ空虚さやなどに注目して解釈するようになっていました。登場人物についても、最初は本当は良い人だと思って捉えようとしていましたが、あとではどうしようもない人と全く反対に捉えていました。
最初は、自分の観点からだけの浅い解釈をしていて、後からのそれは、複数の観点をふまえた上で作者や監督がどう表現しようとしているのかというより深い観点からのものとなっていたのではないかと思います。授業を受けて、今後は最初の読み方の段階からもよりいっそう深く読んでいけるようになりたいと思いました。
野里佳忍
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「演技の“リアル”とは何か?」
俳優のラフな演技ではなく、見ている人の心に生じるものである。
ト書きに記されていないアクションビジネスを考える。
数ある演技プランから、前後関係、役の立場や性格などを考え、どれが一番的確なものか考える。またそれを監督に提案する力も必要。
市川愛理
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第2回 7月19日(土)
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1次的な情報を把握しながら、2次的な情報が頭の中で流れるのが、理想的な脚本の読み方。前後関係を基盤とした根拠のある分析・解釈・演技プランの選択が必要。
□subtext(言外の意味)について
例:セリフ「そうでも京をお発ちに…」
サブテキスト「私、死ぬ!」
このサブテキストの立ち上げ方が大事。客はセリフよりここを見ている。
ト書きに「…をかき分け」と書いてあるだけでも、より具体的な設定を考える。「すごく会いたい」というsubtextだけでは漠然とし過ぎている。すぐその先に妻がいるのか、そうではないのか。それによって“かき分け方”も変わってくる。
□人物像をできるだけ具体的に細かく立ちあげていく必要がある。
例:従者;いつ雇われたのか→昔から雇われていて第二の妻の性格を知っているのか、それとも、昨日今日雇われて状況が分かっていないのか、などは考えておくべき基本設定。
ト書きから人文の性格を読み取り、動物に例える。または他の映画のキャラクター、周りの人、植物など。具体的な想像。
□演技プラン
「佇む武士は、やがて牛車と共に歩きだす。」
“葛藤”が表されている場面:“余白の演技”が求められる。
脚本を読みながら目線の演技を考える。
「分析による形式」をあらかじめ決め、演技プランに入れてしまってもよい。内容が伴えば、単に形式的な演技にはならない。内面と形式のバランス。
例:“立ち止まって物思いにふける”“ふっふっふっと笑う”演技を入れる。
□ト書きの穴を埋める。
ト書きに「京の家で、ひとり涙を袖で拭う妻」とあれば、妻が何をしながた、涙を袖で拭っているのか、といったことは俳優が自ら提案していくべき。
二次分析の把握の仕方は、自分の方法論を探す。具体的な言葉で捉えるか、イメージで捉えるか。
脚本に書かれていない部分まで細かく具体的に設定していくのが俳優の仕事。そのためには根拠のある分析・解釈が必要。それができれば形式的な演技プランも組める。
岡村幸朗
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読み落としている所がやはりあって、もう一度ト書きを丁寧に分析する必要を感じた。
登場人物のキャラクターが明確に色分けされてきた。
タイトルの意味を冒頭のシーンから印象付けるには、何処のシーンでどの様に見せるか、魅せるかも考えたい。
市川 愛里
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前回は、台詞やト書きの後ろにあるサブテキストを一つ一つ考えることを学んだが、
今回も同じ台本の箇所を復習しながら、では実際、役者が、具体的・客観的に
どのように演じればよいか、というのが大筋だった。
ト書きの余白をどうイメージして掴むか、人物造形の背景全体を自分なりにしっかり把握しておくこと。
それは例えば人物を動物に例えてイメージを裏付けたり、非日常の世界を自分の中に
経験値としてストックしておいたものから引っ張ってくるもの。
決して、自分の主観の感情に流されず、制限された身体の中で客観的に爆発させるものであること。
「……」やト書きの裏にある、当たり前かつ具体的な動作は何か。
一から十まで脚本家は書かない。でも、同じ方向を向かせる。その辺りが腕の見せ所。
北村紗代子
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まず脚本分析どうこうより自分のイメージを言葉にするのが難しい(笑)
そして脚本分析は昔の時代のイメージが細かくあまりできていない。
衣装の身支度の仕方や従者が武士に靴をはかせるなどの当たり前の事も分かってなかった(笑)
もうボロボロ(笑)
でも今日はそーゆーことが分かって逆にとてもちっちゃな価値があったし、
すごく脚本分析に過敏になっていけるようになったかもです。
小野雄一郎
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授業の本筋の部分ではないですが、
金先生が「日常」と「非日常」の違いについて
冒頭に少し話されたことが印象的でした。
日常は、社会的なシステムに流されている状態であり、
自己というものを忘れている(消している)時間である。
一方、非日常は自己を取り戻せる時間である。
その非日常的な体験の中で取り戻した自己(や感情など)
が、役者として何かを表現していく上で重要な糧になる、
といったようなお話をされたことが印象に残りました。
分析の部分では、特に印象に残った部分は、
演技の目標は具体的に設定することが大事であるということです。
脚本に書かれている内容を、
具体的に演じて表現できるところまで
分析することが必要です。(その分析したものを
表現するときに単語的に理知的に表現する人もいれば、
漠然とした言葉で表した方が表現できる人もいて
一概にどういう言葉で表現すべきということは言えないが、
自分の方法論を探していくことが重要である)。
(また、良い脚本は、俳優が作っていける余地がある。)
そうして分析した内容を表現していくにあたり、
内面的な部分と形式的な部分のバランスというものが重要であり、
そのバランスが欠けると、観ている側には
オーバーに捉えられたり、反対に全く何も伝わらないということにもなります。
あくまで、内面があっての形式です。
今回の題材で取り上げたシーンで言えば、
シーン17などは特に、その内面と形のバランスを
そこに登場する2人で丁寧に積み上げていく必要があります。
つまり、このタイミングで手を取り…といったような
脚本に書かれている動作を段取り的にこなすのではなく、
そこでの登場人物のお互いの感情のやり取りから
出てきた動きとなるように積み上げていく必要があります。
野里佳忍
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第1回 7月5日(土)
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次回より国際会議席上におけるインド人のように振る舞えるよう努めたいと思います(笑)
長尾 寿充
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シナリオからサブテキストを読み取ることの大切さ
言葉に惑わされず、その裏をきちんと考え、読み解くこと。
登場人物の人物像、背景、関係性、雰囲気
その言葉は誰に向けられているのか
その心は誰に向けられているのか
物語りのテーマは何なのか
このシーンはどんな意味があるのか
脚本の内容を理解しているつもりでいたのに、
テーマすら答えられず、自分は脚本を読んでいたのではなく、
書いてある文字情報に目を通しているだけだったと痛感しました。
土手 理恵子
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今まで自分が脚本を読んでいるようで
実際には全く読めていなかったことを
深く実感させられるほど、初回から深い授業内容でした。
今まで、登場人物の台詞やその動作を示した
ト書きだけからその人物の人となりや動作を
推察していましたが、
それだけでは全く不十分でした。
今までは、単に状況や場所の説明と思って
さらっと流していた、
ナレーションの部分や、柱、状況説明のト書きからも
登場人物の気持ち、性格、動作、言葉の発し方などを
作り上げていかなければならないということを
教わり、目からウロコでした。
まだ、一回目の受講ですが、
脚本の読み方、脚本との向かい合い方が
がらっと変わりました。
これからは、何気ない1行でも
状況説明に過ぎないと思って通り過ぎるのではなく、
その状況を説明しようとした意図は何なのか、
作品全体から照らし合わせ、その文が意図することは何なのか
という行間の奥にあるものを意識しながら
もっと深く読んでいけるようにしたいと思いました。
野里佳忍
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作品のテーマを問われ、直ぐに答えられない。
「武士の吐く、幸せな甘い言葉と裏切り、妻の恨みと怨念」が一番衝撃的で、そこからテーマを導き出したいと思った。
1.黙読:全体像が見えるまで流して読む。テーマを掴む。
2.一次分析:音読。日本語の意味を捉える。
3.二次分析:大きなテーマを成立させる、際立たせる為の、中テーマ、小テーマを明確にしてゆく。
シーンの描きたいテーマは何か。効果的な表現方法は何か。答えは1つではない。
「台本を読み込む」その方法がこんなにも戦略的で、面白く、俳優の大きな仕事であることに感動。
市川愛里
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すっげー面白い。
すっげータメになる。
すっげー受けて良かったと思う授業だと、すぐ思いました。
5回しかないのがとても残念。
後期はぜひ
20回くらい毎週この授業を受けたい!!!
いやマジで。
小野雄一郎
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この場面ではなにをしているのかとか、この場面をやる為に必要な思いは何かとか、割と内面的な事は考えてきたが、このクラスでは細かく客観的に分析をしていく。
人物のキャラクターに沿った表現も大切だと感じた。
が、私が考えた表現を、後で自分で心の動きと共にやってみたら出来なかった 心理と合わない
ひたすら思いだけに焦点を当てて演じてきた私にはなかなかセンスがついて行かないが、大切な事なのでがんばって学ぶ!
国語アホだったのを思い出すわ
身体訓練の方は、腹筋の数を増やす。声量を上げると声も高くなってしまうが、なるべく響きを大切にして低くても響く声を目指したい。
増えてきた色々な動きをしているうちにごちゃごちゃになってくるので、必要な所だけを動かし、元に戻らないようにする。
日永貴子
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戯曲・シナリオ[文字情報]の裏にあるもの[サブテキスト]を読み取る
1次分析[文章分析]→2次分析[解釈・意味分析]
台本をもらったら…
①黙読で全体の流れをつかむ:森
②20字ほどでテーマを書く:どの物語にもテーマがある。そして良いシナリオは大テーマのための中テーマ、またその中テーマのための小テーマによって構成されている。
③口に出して読む:なるべく感情を入れずに、適切に言葉にして読む。
小説→戯曲・シナリオ→詩の順に、状況と状況の間[行間]を埋めるための想像力が必要になってくる。
シナリオの分析
場面1(第一の妻):シーン1-4
第一の妻に着目。
妻が全てをかける場面である。
家の中から外へ移行する流れがある。
妻の動作は、泣く・動かない→追いすがる→動かない→戸口を開く・寄りかかって佇む。
「追いすがる」ときはこのシナリオで妻が唯一能動的に動いている。妻は全てを賭けて夫の膝に追いすがっている。そして妻「どうしても京都お発ちに…」。「…」では妻の気持ちの高ぶりが表現される。そして武士「…(答えない)」の後の妻のセリフでは妻の気持ちは最高潮に達しており、話すテンポも上がることになる。
その後、突き放されて動かない妻の気持ちは逆に一気に落ちることになる。その後の動作のテンポは必然的に落ちることになる。
以上の一貫した流れを把握することによって、演じる人物像に一貫性が生まれる。
場面2(再婚):シーン5
第二の妻の性格の悪さが出てくる場面である。
世話人に着目。
ト書きやセリフから世話人夫婦も第二の妻の両親も、第二の妻の性格の悪さを十二分に把握していることが分かる。焦り、巧みな連携プレー、そして安堵。この流れを押さえないとシーンが成立しない。
逆に第二の妻を押しつけられた格好の武士は、その状況をどこまで理解しているのか。セリフの「…」の解釈次第になる。
場面3(旅):シーン6-10
第二の妻の性格の悪さが強調される。
シーン6のト書きで3人がかりで水が第二の妻のもとに運ばれる様子に着目。そのようにして大事に運ばれた水が、第二の妻によって、あっさり使われるという対比。
シーン7での第二の妻に着目。どう演じるか。「我儘に演じる」は解釈ではない。牛車をどう止めるのか(周りの人を気にせず急に止めるetc)、どのように市に向かい、どのように布地を物色するのか、それを考えるの必要がある。どのような具体的な動作によって、我儘さを表現するのか。
岡村幸朗
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脚本クラスから参加しましたが、とても為になりました。
台本に書いてある台詞には、単に口で読むものでなく、裏にある意味や役割が必ずあり、俳優は台詞一つ一つを全て解釈して撮影に臨むべきだということ。
裏を返せば、意味や役割のない台詞は無いということ。
自分が脚本を書くとき、それらをきちんと考えて書いているか?
あー、耳が痛い。
俳優が実際に、脚本を読んで、演技して、映して、ということを想像しながら書く事を心がけるべし。
北村紗代子
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