さらば無脚本映画製作の日々
後期Ⅱ部「企画・脚本クラス」第1回
安田淳一
正月のおとそ気分も抜けないうちに始まった京都シネマカレッジ後期《企画・脚本クラス》。
「なんでこんな日程で始まるんやろう…。」
こぼれそうな愚痴をぐっと飲み込んで初授業に臨みました。
僕は京都市伏見区で映像制作の仕事を営むかたわら、先年長年の希望であった「劇場公開映画」を自主製作したばかりです。
作っては見たものの、どうやって人に見せたものかその方法がわからず昨年6月シネマカレッジ京都で開講されていた《配給・宣伝クラス》の門を叩いたのでした。そこで学んだ事を生かし昨年の11月に大阪と東京で自作の試写会を開催し、ありがたい事にこの春から大阪、京都、高松の劇場で作品を公開して頂ける運びとなりました。
いよいよ人様にお金を頂いて映画を見て頂くという段に来て、ろくに脚本も書かず、コンテも立てないで、瞬発力と言うか、火事場のクソ力と言うか、まぁ無計画に映画を作ってしまう自分の怖いもの知らずが、急に怖くなってしまいました。
60畳はあろうかと思われる畳を敷き詰めた部屋で始まった講義は、僕を含めて数名の受講者の皆さんがいらっしゃいました。
講師の楠本先生から「好きな映画を3本あげてください」と言われ、他の皆さんが聞いたこともないようなヨーロッパのハイブロウな作品を続々あげられる中『椿三十郎』『男はつらいよ』『ルパン三世 カリオストロの城』などと娯楽嗜好丸出しの作品をあげた僕。新年早々いたたまれなくなりました。
ところが講師の楠本先生は視聴率という数値で評価が決まってしまうテレビを主戦場に戦っていらした経験が豊富で、「売り物」としての映像作品を作ると言う意識が非常に強く感じられました。
それは、制作から配給までを自社で行う事を目指している僕にはとてもフィット感のある居心地の良さと前掲気味の学ぶ姿勢となって表れています。
講義内容は脚本の書き方をプロットから完成まで楠本先生が実際の現場で自ら試行錯誤して見出してこられた実例、法則を交えながら丁寧に教えてもらえます。
個人的にはプロットとあらすじの違いを明快に教えて頂けたのが印象に残っています。
製作資金を得るために出資者に提示する営業ツールとしての企画書。その企画書ににおいて重要な役割を果たすプロット。出資意欲を掻き立てるプロットを書く手ほどきを受けたことは個人的には値千金の獲物でした。
今後プロットを掘り下げ、ハコ書きと言う作業を経て、脚本へと進むのがとても楽しみです。
僕自身は現在進めている企画を映画作ろうと考えていますが、完成した作品がこれまでの無脚本自己流映画の枠を超え、より多くの観客に面白い作品となっているそんな予感さえしながらフフフと笑っているのです。
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