俳優のたまごの志

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2013年10月13日 俳優・演技Bクラス 第3回レポート
講師:藤澤浩和監督

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今回のシネマカレッジ俳優・演技Bクラス、藤澤監督2回めの課題は
ある映画の居酒屋での1シーン。

受講生が演じる舞台はわざわざ本物の居酒屋を貸切って行うという懲りよう。
こういったフットーワークの軽さもシネマカレッジならではの魅力だ。

演じる内容は
子どもの頃にある共通した辛い過去抱えた2人の男女が出会い
居酒屋でその体験談を語り合うというシーン。

受講生たちへは台詞が書かれたシナリオが事前に配られ、
それを元に、台詞暗記はもちろんのこと、台詞の意味合いなど
それぞれが解釈してきた役を藤澤監督の前で演技をぶつける。

監督「この映画観てきた人いる?」
受講生(2〜3人ほど手が挙がる)

監督「じゃあ誰かこの役やりたい人いる?」
受講生「・・・」
監督「…じゃあ今日はやめますか?これから皆さんでご飯でも食べにいきますか?」

難易度の高いシーンとあってか皆さん少し緊張気味の様子。
いきなり監督の厳しいお言葉にうろたえる受講生たち。
無理もない。長台詞、なおかつテンポ、二人会話の間が求められる
プロの俳優でも簡単には演じ切れないのではと思えるほど難しそう。

何より最初の“1番バッター”というのは相当勇気がいるものだ。
緊張感がひしひしと伝わる…。
“これから役者として飯を食っていきたいと志をもった者が
ここで手を挙げなくてどうするんだ!”という心の葛藤が聴こえきそうだ…

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俳優・演技コースが他のコースと少し雰囲気が違うと思える理由は
受身ではなく演じなければ何も得られるものがないというところにあるのかもしれない。
すなわち「実践あるのみ!」である。
受講生たちの心に宿す並々ならぬ役者魂が感じられる。

しかしながら、どれだけ課題の準備を行ってきても
中には台詞が飛んでしまう人や、緊張して会話のテンポがぎこちない人など
1回ですんなりこなせる人は誰もいない。

「はいカット!」という監督の声をきっかけに演技指導がなされる。
台詞の感情の込め方や微妙な心情の表現など細かなところまで
的確な指示が与えれる。

監督の意図と自分の考えをすり合わし、咀しゃくして
与えられた役を自分のものにしていく過程は
まさに本物の映画作りと変わりない姿なのかもしれない。

演じる内容は同じでも演じる人によって全く違った雰囲気になっていると
感じられたのは、演技内容の良し悪しは別として
各々が演じる役の世界観を作り上げてきている証拠なのかもしれない。
そして、それが“演じる”ということの一番の面白さなのかもしれないと思えた。


講座を終えた後、気になっていたことをある受講生に尋ねた。
半数以上が事前に今回の課題となった映画を観てきていなかったことについて。
すると「先入観をもってしまうとやり辛いと思いまして…演技に正解はないですからね」と。
私の愚かな考えは恥ずかしくもさえ思え…ただただ彼らの志にうんうんとうなずくのでした。


シネマカレッジ京都後期Ⅰ部 企画・脚本クラス 森田雄司